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みんなのビデオ撮影 ビデオ撮影の基本(2) 撮影技法編

▼その1 フィックス(1)

それでは次に具体的な「ビデオ撮影技法」について基本的なものをご紹介しましょう。

まずは「フィックス」です。これが基本中の基本です。カメラを動かさず、ズームも使わず、被写体をジッと撮影するのです。 「何だ、じゃあ写真と同じじゃないか。」と言われる方もいらっしゃるでしょうが、そうなのです。ビデオだから、どうしてもカメラを動かしたり、ズームを使ったりしたいと思いますが、グッと我慢して、まずは構図を決めて「フィックス」をきちんと撮ること。ここから始めましょう。

▼その2 フィックス(2)

その「フィックス」・・つまり画の「構図」をしっかり決める、ということが最も大切なことです。それができるようになれば、その他の撮影技法など必要ない、と言ってもいいくらいなのです。どのような構図がよいのか、ということを解説すると途方もない説明になってしまいますし、その目的、意図によっても大きく違ってしまうので、ここでは省きます。

でも、要点は「何を撮影したいのか」「何を表現したいのか」という、撮影の目的、意思をはっきりさせて、そのためにはどんな表現の映像がいいのか、ということを考えること。プロのビデオカメラマンはそうした修行を積み重ねてきて、そして今もつねに研究、勉強をしているのです。ですから大変奥の深いことなのです。

▼その3 フィックス(3)

どんな「構図」が良いのかということの勉強・研究として手っとり早い方法は、TV放送の番組をそういう問題意識で見てみることですね。「お笑い」とか「バラエティ」とかはダメです。「情報番組」とか「ドキュメンタリー」とか、映像を落ち着いてしっかり撮影している番組の映像を良く見てみてください。

自分が撮影者になる、という立場で見てみるとまた違った印象を持つものです。「こんな撮り方をするとこんな印象になるのか。」「この画とこの画をつなげる編集はわかりやすいな。」など、どんな撮影映像が使われているのか、分析してみるのです。何を隠そう、私も若いころビデオテープに録画して、よく勉強したものです。

▼その4 フィックス(4)

「フィックス」の撮影の時のポイントは、構図を決めたら、撮影を開始して、頭の中で「秒数」をカウントすることです。(インタビュー撮影とか、イベントの記録撮影などとは違う話です。)

例えば、富士山の風景を撮影するのに、ただ、やみくもに撮影しても時間が長くなるだけです。必要だと思われる秒数を効率よく撮影するのが大切なポイントです。通常、風景など「情景描写」の撮影でしたら、せいぜい10秒前後といったところでしょう。その10秒程度の映像をいろいろな構図で撮影すると、後で編集するときに「テンポ」の良い見応えのある映像作品ができるのです。

▼その5 パン(1)

次にビデオカメラを動かして撮影する代表的な撮影方法である「パンニング」(通称「パン」)についてご紹介します。「パン」とはカメラを左右または上下あるいは斜めに動かして撮影することです。非常に簡単な撮影方法だと思いがちで、ふつう一般の方が当たり前のようにカメラを動かして撮影していますが、ビデオカメラマンを目指す人が「パン」をきちんとできるためにはかなりの練習が必要なくらい、本当は難しい技法なのです。

▼その6 パン(2)

「パン」という撮影方法の意味合いをご存知ですか?「ただ、広い場所などを左右になめるように撮影することでしょ。」と思われているあなた・・・ん?・・一部分は正解で、そういう意味合いもありますが、本来の意味はそうではないのです。

「パン」の本来の意味合いは・・「A」と「B」という2つ被写体をカメラを動かして連続して撮影すること。
なのです。つまり言い方を変えれば、
「A」を「フィックス」で撮影・・そしてそのままカメラを動かして「B」へ向け、「フィックス」で撮影。
ということです。

▼その7 パン(3)

「基本編」をずっと読まれてきた方はもうお気づきかもしれませんが、この「パン」という撮影方法も「フィックス」が基本であり、その応用と言っても良いのです。ですから、「パン」の撮影で重要なのは起点となる「A」と終点となる「B」であり、起点と終点をきっちり決めないと「パン」というカメラを動かして撮影する映像は、それを見る人に不自然な印象を与えてしまうこともあるのです。

よく一般の方でビデオカメラで撮影するのを見ていると、ただやみくもに左右、上下に動かして撮っている方を見かけますが、おそらく、そうした方はご自身で撮っていて、「どこで止めようか・・?」と悩みながら撮影しているんじゃないでしょうか?

そういうビデオ映像を見ていると、「いったい、何を撮ろうとしているのか?」とか「見ていて不安な感じになる。」とか、あげ句には、 「目が回る、酔ってくる。」なんていう感想が出てくることもあるのですね。

▼その8 パン(4)

「パン」撮影法の実際の基本をご紹介しましょう。まず何を撮るのか、2つのターゲットを決めましょう。ターゲットが決まったら、まず起点「A」の「フィックス」の構図を決めてみましょう。次に終点「B」の「フィックス」構図を決めてみましょう。

「A」「B」の構図を頭の中にイメージとして記憶し、「A」のフィックスで3?5秒 >> 移動 >>「B」の構図を決めて3?5秒・・ストップ。という具合です。説明としては簡単ですが、なかなかそう、うまくは行かないものです。いきなり本番で回さずに、何回か練習をしてから行いましょう。

▼その9 パン(5)

「パン」の解説、補足です。起点から終点への移動の速さですが、単に起点「A」と終点「B」のみを見せたい画であれば、移動間の画は無視するような感じで、移動は早めのスピードでよいでしょう。そうではなく、起点と終点の間の画も見せていのであれば、移動はゆっくり行いましょう。人々の集団とか、広い風景とかでしたら、ゆっくりの「パン」がよいでしょう。

ちなみに上下のパンは「パンアップ」「パンダウン」などと言いますが、(ティルトとも言う)パンアップは高いものを見上げるようなイメージ。パンダウンは上から下にあるものを見下ろすようなイメージ。という映像表現になります。ただ、縦書きの看板をパンで撮るには、言うまでもなく「パンダウン」ですね。

▼その10 パン(6)

「パン」の解説 もう一つ補足です。「パン」の映像表現としての起点「A」と終点「B」の意味合いは、どちらかと言うと、終点「B」に重要度が置かれる場合が多いようです。つまり、
『「A」という場所から目を移すと「B」という"お目当てのもの"があるのです。』
というような意味合いの映像表現になるのですね。

ちなみに左右どちらの方向のパンが良いのか、という決まりはありません。(当然ですが)ただ、カメラマンの立場で考えると、通常「右目」でファインダーや液晶パネルを見て撮影しますので、空いている「左目」で終点方向を見ながら撮影する方がやりやすいですので、「左方向」へのパンの方が撮影者にとっては都合がよいでしょう。

▼その11 ズーム(1)

当然のことですが、「ズーム」にはワイドからアップしてゆく「ズームイン」とその逆の「ズームアウト」があります。撮影技法としての意味合いとしては、「ズームイン」は何か特定の見せたいものを強調する印象になり、「ズームアウト」はその特定の被写体の周りはこんな感じです、という映像表現ですね。

基本的な撮影方法は「パン」と同様に「起点の画」で3?5秒>> ズーム >>「終点の画」3?5秒・・ストップという具合です。起点・終点のカットをしっかり決めて行うと良い表現の映像になります。間違っても、途中でやめたり、戻ったりすると、大変見苦しい映像になってしまいますので、注意しましょう。(それは「パン」でも同じことが言えます。)

▼その12 ズーム(2)

家庭用ハンディカムビデオカメラには、ズームレンズを使った「光学ズーム」と内蔵の回路処理で映像の中心部を拡大する「デジタルズーム」があります。「デジタルズーム」は大変大きく拡大することができますが、アップすればするほど、画質が粗くなりますので注意が必要です。「デジタルズーム」を使いたくない場合には、ふつう、メニュー設定に「デジタルズームを使わない」というような項目がありますので、それを「ON」にしておけばOKです。

▼その13 移動(トラック)ショット

カメラを持ちながら、カメラマン自身が歩いてなめるように撮影してゆく方法で、人の集団とか、並んでいるものなどを迫った印象で撮影できます。「パン」に似ていますが、映像のイメージが全く違います。

この方法で撮影する場合は、レンズをワイドにして、被写体にぎりぎりまで近づいて、ゆっくり行うと良いでしょう。(ワイコンを使うと一層効果があります。)間違ってもレンズをアップにしたり、離れた所から行っても効果はないどころか、違和感のある映像になってしまいますので、注意しましょう。また「パン」と同じで「起点」と「終点」をしっかり決めて撮影しましょう。

▼その14 撮影技法の補足

フィックス(2)でも解説しましたが、ビデオ撮影の基本はあくまでも、「フィックス」です。「パン」「ズーム」「移動ショット」などはその応用として、とらえていただきたいものです。「これは!」と思われるカットにそうした応用を最小限に使ってこそ、その技法が生きるのです。

映像作品の9割以上は「フィックス」で十分だと思われますし、「フィックス」の構図がしっかりできていれば、特にカメラを動かしたりしなくても、素晴らしい映像コンテンツは完成できると信じています。逆の言い方をすれば、やたらビデオカメラを動かして撮影した映像は、見ていて大変疲れるものになってしまいます。

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