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重たいインド取材撮影の旅 (平成6年 1994年)その3

 

さて、こうして始まったインド取材ツアーです。よく、インドへ旅行へ行った日本人は一様にその常識はずれの様相に驚き、異常なインド好きになるか、大嫌いになるか、どちらかだと言われていますが、われわれもそうした「常識はずれ」攻撃にさらされたことは言うまでもありません。

まず、ホテルから一歩足を踏み出すと定番のアレです。アレ!「物乞い」の皆さんの集中砲火です!ほとんどが女性、おばさんですね。半分くらいのおばさんは小さな子どもを抱いています。何を言っているのかわからないんですけど、とにかく手を出して、何事かを叫んでいます。

「だんな!お恵みを!この子にミルクを  飲ませてやってくだせ?まし!」(想像)という感じでしょうね。これが十数人の集団で来るので、圧倒されます。こうした場合、安易にお恵みを与えてはいけません。

ある時、ディレクターさんが情け心を出して、おばさんに小銭をあげてしまったんです。その時はそのおばさん以外にはいなかったんで、大丈夫だと思ったら、どこかで見ていたんでしょうね。十数人の「物乞い」の皆さんがどこからともなく集まってきたもんです。

もう大騒ぎですよ。みんなでそのディレクターさんを取り囲み、手を出して、「あの人にはあげたのに私には下さらね?んですか?不公平でしょう、だんな!私にも!私にも!」(想像)振り切るように走って逃げたのは言うまでもありません。

あと、これは「物乞い」ではないのですが、空港とかに着くと、汚い格好の「人足」のような男たちが群がるように集まってきて、私たちの荷物の「争奪戦」が始まるのです。荷物運びのポーターさんですね。

ある時、その中に小学生くらいの男の子が混じっていて、その子に荷物を渡そうとしたら、ガイドさんが止めたんです。労働基準法みたいのがあって、児童労働は厳しく禁止されていて、子どもに荷物を運んでもらうと、労働を強要することになってしまうようです。仕方がありません。

そうしたら、その子、ずっと車輪の付いたトランクに手をついて(要するに運んでいる格好をして)ついて来たんですね。それでロケ車のところまで来て、大人のポーターさんにチップを払っていると、その子も手を出してきて、「おれも運んだんだ!代金をくれよ!」(想像)と必死のけんまくで叫んでいました。かわいそうだけども仕方がありません。後ろめたさを感じながら、「無視」です。

***

 

そうして街の中を取材して行く私たちを次に襲うのは、「動物たち」です。

 

まずは「牛さん」。

 

「野良牛」なんだそうですが、車の行き交う車道にも、商店の立ち並ぶ雑踏にも、悠然と歩いています。たまに八百屋さんの野菜をかじったりしています。油断していると後ろから牛さんに背中を小突かれたりもします。ヒンズー教の教えか習慣で、牛を買って野に放つのが功徳になるということで、みんなやっているとのこと。

 

そして定番の「象さん」です。

 

象さんはみんな働いています。街路樹の枝切りや丸太なんかの荷物運びですかね。だいたい表通りにいるんですが、路地裏なんかにいきなり現れたりします。片側3車線くらいの車が行き交う幹線道路にも悠然とノッタリ歩いていたりします。道路が渋滞してしまうのは言うまでもありません。

 

驚いたのは、これはカルカッタへ行った時に見たのですが、大都市の街中を100頭くらいの「ヤギ」を放牧?している「ヤギ使い」がいることでした。公園の芝生なんかを食べさせているようでした。なんで街中で放牧しているのか???スタッフ全員、あ然としてました。

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