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舞台用語集

(文責/Nビデオ企画)
 

舞台用語集 あ行

 

▼あご・あし・まくら

「あご」は食事代、「あし」は交通費、「まくら」は宿泊代のことで、出演者やスタッフなどに支払う報酬の実費部分のこと。

▼暗転幕

緞帳より舞台内側に設置する黒幕。演技途中の場面転換の時に照明を落としてから降ろすことが多い。
暗転幕を降ろしてから舞台上でセットチェンジを行い、暗転幕を上げて照明を付ける。

▼生かす

その舞台で使うもの全般に使用する言葉。「この小道具は生かそう」などと言ったり、「この照明は生かし」と照明などをセットして使える状態にしておくことなどで使う。反対の言葉は「殺す」「落とす」など。

▼板つき

演技が始まる前の暗転中または閉幕中に、役者やダンサーなどが舞台上に立つこと。

▼一ベル

開演前の「予鈴」のこと。通常二ベルが開演の合図で「本鈴」。

▼エアモニ

「エアーモニター」の略。客席も含めた舞台全体の音響をマイクで拾った音源のこと。通常は楽屋などで舞台の進行状況を確認するために流す。

▼オーバーチュア(Overture)

ミュージカルなどの舞台で開演と同時に流す序曲のこと。「序曲」という意味合いの演技になる場合もある。

舞台用語集 か行
 

▼カーテンコール

全ての演技・演目終了後に出演者、演出家などが全員でお辞儀したりして観客の拍手に応えること。花束贈呈や代表者の挨拶などがある場合もある。

 

▼書き割り
絵で描いた背景などの木枠のセットのこと。実写風景などの背景幕も書き割りと呼ぶことがある。

 

▼楽屋

ホールや劇場などにある出演者用の控室。通常、舞台の裏などにあり、メイクや着替え用の鏡などが設置されている。

 

▼影アナ

舞台上に出演せずに、舞台袖などでマイクを使い場内アナウンスや解説・紹介アナウンスなどをすること。

 

▼ガチ

コの字型をした鎹(かすがい)のこと。平台や様々なセットを繋げたり固定したりするのに使う。

 

▼ガナリマイク

リハーサル時に指導者、演出家、舞台監督などが出演者やスタッフに指示を出したりするマイクのこと。通常客席中央で行うことが多い。

 

▼上手(かみて)

客席から舞台に向かって右側のこと。舞台上では「右」「左」という表現では、その人の向きによって全く反対の方向を指してしまい混乱することもあるので、絶対位置を定めるためにそういう表現をする。上手の反対は「下手(しもて)」

 

▼消え物

一回の公演・演技で使い切ってしまう消耗小道具のこと。普通は演技の中で実際食べてしまう食品や演技で壊してしまうものなど。
リハーサルで使うものも含めて通常、同じものをいくつか用意する。

 

▼きっかけ

照明、音響、出演者の演技・動作のタイミングのこと。大事な転換などでは「何か」の動作やセリフ、音などを「きっかけ」にして始めるとか、あらかじめその合図になることを決めておくことが多い。

 

▼客電

ホール客席用の通常照明のこと。明るさを調整できるものが多い。通常公演中は消灯するが、演出によっては点灯することもある。

 

▼キュー出し

照明、音響、出場などのタイミングを出すこと。通常舞台監督がその指揮に当たる。

 

▼ゲネプロ

ゲネラールプローベ・Generalprobe(ドイツ語)。本番同様の最終リハーサルのこと。通常休憩時間なども本番と同じ長さにとる。

 

▼小屋

劇場やホールの通称。かつての「芝居小屋」から来ている。

 

▼殺す

二つの意味がある。一つは「生かす」の反対語で、「使わない」「使えないようにする」ということ。もう一つは照明やセットなどを決めて、固定して動かなくすることを「殺す」と言う場合もある。

舞台用語集 さ行

 

▼作業灯

舞台上の照明・音響・セットなどを仕込・セッティング作業をするために点ける通常照明のこと。

 

▼サスペンションライト

舞台上部に吊り下げられているバトンに取り付ける照明のこと。当然真上から当てる照明演出になる。

 

▼三点吊マイク

舞台上部・天井から吊り下げられた舞台上の音声を収録するためのマイク。二点吊、一点吊のものもある。高さをある程度調整することが可能。主に演奏舞台などで使用されることが多い。全体的・平均的な音声となるが、「エアー」よりも舞台上の音が明瞭な音声収録になる。

 

▼地明かり

舞台上部から舞台全体をフラットに当てるベースとなる照明。

 

▼シーリングライト

客席天井部分に取り付けられたライト。舞台全体を斜め上から当てる照明。

 

▼仕込

舞台全般(セット・装置・照明・音響など)の設置、調整などのこと。

 

▼下手(しもて)

客席から舞台に向かって左側のこと。詳細は「上手」参照。

 

▼紗幕(しゃまく)

生地の目が粗く、向う側が透き通ってある程度見えるように編んである幕のこと。紗幕の外側(客席側)で照明を当てても向う側はほとんど見えないが、内側(舞台側)で照明を当てるとそこにあるものが浮いて出るように見える。A(外側)とB(内側)を隔てる演出や幻想、夢の中、回想などを表現する演出などで使われることが多い。紗幕が開くと、その内側にあるものが「現実」になる、または隔てられた「壁」が取り払われる、というような演出効果になる。

 

▼ジョーゼット幕

主にバレエ舞台などで使用されることの多い白く薄い生地の幕。舞台上部や両袖などに飾る。高級感のある欧風なイメージを演出できる。舞台以外にも宴会場やレストランなどの装飾にも使用されている。

▼スッポン

花道の途中に作られているセリ(昇降機)のこと。主に幽霊、妖怪などこの世のものではない存在の役が登場するときに使用されることが多い。
正面の舞台とはずれた花道の下から出てくるということで、この世(正面舞台)とは次元の違うあの世(スッポン)から出てくる、というイメージなんでしょうね。

▼セリ舞台

舞台床下(奈落)から役者が登場する目的で使う昇降機(舞台)。「スッポン」もその一つ。元々江戸時代に発達した歌舞伎舞台で発明された。昔は当然人の手で上げ下げをしていたが、現在は機械式エレベーター。余談であるが、過去にこのセリ舞台の事故で亡くなった役者さんや作業員の方がいる。今は安全機構が義務付けられているが、危険を伴う装置であることには変わりはないので、使用する際には細心の注意が必要。

▼袖(そで)

舞台左右(上下)サイドの登場口のこと。出演者の待機場所であると同時に、舞台や演出に必要な多くの道具類・機械・装置が設置されている。

▼袖幕

袖の裏側が客席から見えないように設置される黒幕。

▼ソワレ(soiree)

フランス語で午後や夕方を意味する。主にミュージカルなどの舞台で、夜(夕)の部の公演のことを指す。昼の部公演は「マチネ」


舞台用語集 た行

 

▼立ち位置

役者やダンサーなど出演者が舞台上で立つべき位置。

▼立ち稽古

主に芝居などでセリフ稽古をひと通り終わってから行う、振りや動きをつけた稽古のこと。

▼ダメ出し

リハーサル時や公演終了後に指導者、演出家、舞台監督などが出演者やスタッフに注意や訂正などの指示を出すこと。

▼調整室

ホール、劇場に必ず存在する音響・照明のベースとなる電気的な調整をつかさどる部屋。その施設の専門スタッフが詰めて操作する。

▼通し稽古

ゲネプロ(本番同様のリハーサル)とほぼ同様の意味で使う場合と、単に途中を中断しないで行う稽古という意味で使う場合とがある。

▼緞帳(どんちょう)

舞台の最も客席側にある幕。大きな劇場や公共の施設などでは、有名な画家の作品を原画にして豪華な刺繍で作られたものもある。スポンサー企業の名前入りのものが多いのは緞帳が大変高価なものであるからでしょう。緞帳のない施設もある。


舞台用語集 な行

 

▼奈落(ならく)

舞台床下のスペースのこと。

▼人形(にんぎょう)

パネルや書き割りなど木製の舞台セットなどを立てるためにそのセットの背後に取り付ける角材で作った三角状の支え木のこと。人形を立てて飾るのにその背後に三角状の支え木を取り付けたことからそう呼ばれる。

 


舞台用語集 は行

 

▼場当たり

この言葉は一般的には「その場の思いつき」という意味で「場当たり的」という使い方をしますが、舞台用語は違います。
その舞台の役者・ダンサーなど出演者の動き(入・ハケなど)のみならず、照明・音響などの裏方スタッフも含めた動きや操作のきっかけ、タイミングの確認、指示をするために行う稽古リハーサルのこと。通常、そのきっかけを確認する必要のない部分は省いて進行する。

▼バウンダリーマイク

舞台客席側端の床面に仕込む平たいマイク。一般の人にはマイクとは気がつかない薄い形状で、主に芝居で役者の台詞を拾う目的に使用される。当然のことながら、周りの雑音、足音(マイクの特性上かなり軽減されているが)なども拾い、またマイクに近い人の声はよく拾うが、離れた人の声はほとんど拾わない。このマイクのみでは音声の明瞭感は期待できないので、通常「押え」としてサブ的に使うことが多い。「フットマイク」とも言う。

▼ハケる

出演者が舞台上から袖口などに退場すること。ハケる方向を「ハケ口」という。

▼箱馬(はこうま)または箱足(はこあし)

平たい角材で作られた多目的木箱。軽くて丈夫なので、主に舞台上に作る構造物セットなどの土台に使われることが多い。一番下に箱馬、その上に平台、そしてセットという具合に組まれる。また照明スタンドなど何かをかさ上げしたい場合にも土台として使うことがある。その他にも裏方スタッフのイス代わりなどにも使っている。

▼花道

歌舞伎舞台に存在する舞台下手側から客席後部へかけての通路のような長い舞台。現代では歌舞伎以外の舞台でも花道を使った演出が行われることがあり、花道を組むことが可能なホール、劇場もある。

▼バミリ

出演者の立ち位置を認識したり、セットなどを設置するための目安の目印。通常白いビニールテープなどを使うことが多いが、蛍光テープを使う場合もある。バミリという語源は言うまでもなく「場を見る」ということ。

▼ばらし

公演終了後に全ての設備を片づけて、ホールや劇場を現状に戻し撤収すること。

▼搬入口

舞台施設に設備やセットなどを搬入するための出入り口。通常舞台の裏手や横にあり、比較的大型車両が入るスペースが備えられていることが多く、使わない時はシャッターで閉められている。荷物の運び込みに搬入口を使うためにはホール事務局の許可が必要。
 

▼PA(ピーエー)

舞台における音響機材、オペレータースタッフなど音響システム全般のことをこう呼ぶ。「Public Address System」(パブリック・アドレス・システム)の略。公共(大衆)への伝達システムという意→観客に対する音響システムということ。

▼平台(ひらだい)

舞台上に構造物(舞台上舞台、ヒナ段、家屋など)のセットを作るときなどに使われる木製の台のこと。大きさは面積:3尺×6尺(=ちょうど一畳の大きさ)×高さ:4寸(約12cm)が一番多く使われるが、用途によっていくつかの大きさがある。箱馬と組み合わせて使うことが多い。ちなみに箱馬も平台もそのサイズは日本独自のもので、外国ではまた違うサイズの似たようなものを使っているらしい。

▼ピンスポット

客席後方の照明室などからほぼ正面に向かって当てるスポットライト。登場人物などを強調させる場合に使うことが多い。通常専門オペレーターが操作する。

▼舞台監督

舞台公演の総合的な進行、装置、照明、音響や大小道具など舞台進行全般を統括する監督。舞台演出とは役割が別の場合が多い。

▼フットライト

舞台淵の床面に仕込まれたライト。上向きの照明を人物などに当てることで、役者やダンサーが強調され、注目を浴びるような印象の演出として使われることが多い。「脚光を浴びる」という言い方はここから来ていると言われている。ホリゾント幕の下に仕込んで当てる場合もある。

▼不滅電源

常時生きている電源コンセントやコネクターのこと。通常客席や楽屋などにある家庭用と同じ100V電源コンセントをさす。ちなみに舞台での照明、音響などの電源は比較的大きな電力を使うことと、電力トラブルを避けるためにそういった不滅電源を使わず、調整室などでON・OFF・調整できる回線の違う専用電源を使う。

▼フロントライト

客席前方、両サイドの上部にある照明。シーリングライトと同様の役割で舞台全体を当てる。

▼ホリゾント幕

舞台後方に取り付ける全面白色の幕。ここに演出用照明を当てて、雲、空、模様、図形などの背景を浮かび上がらせる。映像プロジェクターで映像を投影することもできる。

▼本ベル・本鈴

開演直前に鳴らす開始合図ベル。単にブザー音やチャイム音が多いが、施設によってはその地域特性の音楽などをモチーフにした合図音を使うところもある。また特定の音源を音響さんに再生してもらえば、オリジナルの予鈴・本ベルを鳴らすことも可能。

舞台用語集 ま行

▼幕間(まくあい)

一幕と二幕の間など、公演途中の一旦幕を閉めた休憩時間のこと。当然のことながらお客さんには休憩時間でも、舞台上や楽屋では次の幕・演技の準備に追われる時間となる。また幕間を休憩とはせず、間つなぎのちょっとした余興演技などをする演出もあるようだ。

▼マチネ(matinee)

フランス語で午前や朝を意味する。主にミュージカルなどの舞台で、昼の部の公演のことを指す。夕(夜)の部公演は「ソワレ」

▼見切れ

舞台上で客席から見えてはいけないもの(人)が見えてしまうこと。リハーサルなどで袖口から次の出演者がちょっと舞台をのぞいたりすると、「見切れてるよ!」と怒られることがある。


舞台用語集 や行

▼やおや

小道具やセットを置くテーブルや台などを客席から見やすいようにわざと斜めにする(客席側を下げる)こと。舞台全体に傾斜をつける場合は「やおや舞台」という。昔よくあった八百屋さんの店頭商品をお客さんの目線に映りやすいように台をちょっと斜めに作ったことからそう呼ばれる。

舞台用語集 ら行

 

▼楽日(らくび)

興行最終日・千秋楽のこと。

▼リハーサル

舞台上での全体的な演出-進行全般の稽古の総称。場当たり、通し稽古、ゲネプロなど、いくつかの段階を踏むことが多い。

▼リノリューム板(linoleum)

バレエやダンス舞台などでは必ず舞台上に敷く灰色のシート。材質は塩化ビニール樹脂でできていて、振動を適度に吸収し滑りにくい。用途によって材質、表面加工や色にいくつか種類があるようだ。


舞台用語集 わ行

▼わらう

道具類を片づけること。

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