物をビデオ撮影


▼その1

「物」の撮影とは商品・絵画・花・人形・アンティーク・料理・・・
など何かの物体を通常カメラを近づけて撮影する、ということです。
「そんなもの解説するまでもないじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、
プロの現場では「商品撮影」「接写」というのはかなり難しいテクニックが必要なくらい
腕のいいカメラマンでないとなかなか上手に撮影できない分野でもあるのです。
その被写体である個体によって撮影の仕方、照明の当て方などが異なりますが、
ここでは一般的、日常にあるものの撮影について簡単にご説明いたします。


▼その2

ビデオカメラのレンズはそれぞれフォーカスの合う距離が決まっています。
物を撮影するときに、カメラをあまり近づけるとフォーカスが合わなくなってしまいます。
ビデオカメラによっては、オートフォーカス機能で自動的に「マクロ」モードにしてくれるものがあります。
ただ、それでも距離が近すぎるとフォーカスは合いません。
小さなものを撮影する場合には、市販の接写用クローズアップフィルターを使うと良いでしょう。


▼その3

「商品」などの物体撮影では、撮影技術よりは照明技術の方が奥が深いと言ってもよいでしょう。
照明技術についての専門知識をここで述べることはキリがありませんので止めておきますが、
ごく簡単に物を撮影できる照明方法をご紹介いたします。
非常に簡単な話なのですが、要は日中に外で(あるいは外光の入る明るい部屋で)撮影することです。
太陽という大変明るい「照明」を生かさない手はありません。


▼その4

太陽光で「商品」などを撮影するのは、実際私も簡易的に撮影するにはそうした方法をとることがあります。
ただ、気をつけなければいけないことが何点かあります。
一つはあまり晴れていて、太陽光が強い時は「物体」の影がはっきり出てしまって、
コントラストがきつくなってしまうので、ちょっとした日影で撮影するか、
白い薄地のシーツなど、ある程度日の光を和らげるもので遮光すると良いと思います。
(色地のシーツは避けましょう。商品にその色が乗ってしまいます。)
明るい薄曇りの日ならそのままでベストでしょう。


▼その5

太陽光を利用する場合の注意点その2です。
当然のことながら、太陽光を背にして撮影するべきですが、
自分自身やカメラの影を商品などに落としてしまっては台無しです。
撮影場所や立ち位置をよく考えて設置しましょう。
また時間帯によっては太陽が低い位置に来てしまい、
影が長く出てしまいますので撮影時間にも注意が必要です。


▼その6

太陽光を利用する場合の注意点その3です。
「屋外でのビデオ撮影」でも解説しましたが、太陽光はその時の天気、時間帯によって「色温度」が異なります。
カメラのホワイトバランスをきちんととってから撮影しましょう。
(詳細は「屋外でのビデオ撮影」編をご参照ください。)
また周りに葉の茂った木立などがあるとその緑色の反射があるので、商品に緑色が乗ってしまいます。
撮影場所にも注意しましょう。(白やグレーの壁など、コンクリート建物の周りなら良いでしょう。)


▼その7

その物の質感・凹凸を見せるには、ある程度の影があった方が良いでしょう。
例えば、縄文土器、無地の木彫り人形、銅像などはフラットな照明ではその立体的な質感がわかりません。
斜め横から光が当たれば、その凹凸が現れて立体的な表現ができます。
同様にボールなどの「球体」、無地の「正四角柱」なども影がないと奥行きが表現できず、
「平面」に見えてしまいます。


▼その8

物体の大きさが小さいほど、カメラのズームでクローズアップしなくてはいけませんが、
ズームで寄れば寄るほど、「ブレ」が大きくなりますので、三脚は必須です。
また小さなものを撮影する時には「パン」や「ズーム」などはかなり難しいテクニックですので、
「フィックス」で撮影する方が無難でしょう。


▼その9

「商品」などを撮影するには、「置く場所」を考えましょう。
どんなに美しい品物でも置いてある場所が汚いと美しい映像にはなりません。
通常、プロの現場では、白、グレー、黒などの布生地または模造紙などを敷いて、
その上に商品を置いて撮影します。
品物の色によっては、その色が映えて、マッチする色地のものを敷いても良いでしょう。
どんな色が合うかは実際置いてみなければわかりませんが、あまり派手な色を使うとその色が反射して、
品物に余計な色が乗ってしてしまいますので注意が必要です。


▼その10

布生地や模造紙を置く場合、単に平面的に置くより、どこか壁際の場所で、または箱などを置いて、
その「角」に丸みを作った「L字」になるように敷くと、斜め上から、
または横からの撮影でも効果的に背景を作ることができます。くれぐれも「角」を直角に折ってはいけません。
必ず丸くカールを作ることが肝心です。
言うまでもないことですが、真上から平面的に撮影するにはこの必要はありません。


▼その11

斜め上から商品を撮影するとき、箱や小さなテーブルなど商品を置く台を使って、
その台をカメラに向かって少し斜めに傾けると、カメラ自体をそれ程高くしなくても撮影しやすくなります。
これを業界用語で「やおや」(八百屋)にする、と言います。
昔どこにでもあった八百屋さんのお店では、
お客さんから商品を見やすくするために野菜を置く木箱をわざと少し斜めに置いて陳列していたことから、
そういう言い方をするようになりました。
「やおや」にする場合には、あまり斜めにし過ぎると商品がずれて落ちてしまいますので、注意が必要です。


▼その12

古い紙焼き写真などをビデオに撮影したい場合には、
ボードなどに張り付けて、三脚で撮影するのがベストですが、
注意しなくてはいけないのは紙焼き写真にカメラや自分自身が写り込んでしまったり、
照明や日差しが反射してしまうことがあります。
その場合は照明を少し斜めから当たるようにすることと、
カメラの背景をできるだけ暗幕や黒っぽい模造紙で覆ってしまい、
撮影者はできるだけ黒っぽい服装にしていれば、かなり改善されるでしょう。
これは、紙焼き写真に限らず、額縁やガラスのコップ、白っぽい陶磁器なども同じ条件です。


▼その13

どうしても被写体である品物に撮影者などが写り込んでしまう場合には、
撮影の条件を整えて、カメラのサイズを決めたら、カメラマンは離れた位置へ移動し、
ビデオカメラのリモコンを使って撮影すると良いでしょう。
また撮影者が多少写り込んでしまう場合でも、動かなければそれほど目立つことがないので、
撮影を始めたら、「ジッと」動かないでいると良いでしょう。


▼その14

スライドなどに使用するポジフィルムなどをビデオ撮影するには、
「ブライトボックス」という写真専門の照明機材を使用するのが一般的ですが、
「ブライトボックス」を使わずに、ごく簡単に撮影できる方法もあります。これも太陽光を使用します。
日中にガラス窓の内側にポジネガを張り付けて撮影するのです。気をつけなければいけない点として、
直射日光があたる窓ガラスは避けた方がよいでしょう。
また背景に植物の緑や色のついた壁などがあると反射でその色が乗ってしまいます。
薄曇りの日などに空を背景にするとよいでしょう。


▼その15

太陽光を使ったポジフィルムのビデオ撮影・・・重要な注意点です。
室内が明るいとフィルムに写り込み、または反射してしまいますので、
室内を暗くし、ポジを張り付けた周りに黒紙などを張り、更にその周りをカーテンなどで遮光すると良いでしょう。
またカメラの後ろ側も黒模造紙や布生地などで遮光した方がよりベターでしょう。